屋根や雨樋のお手入れと注意点

屋根・雨樋のお手入れ

屋根や雨樋は住宅を雨・風や直射日光から守り、建物にとって最も重要な役割を果たしている部分です。
そのため、常に雨や直射日光にさらされ厳しい自然と直面している分、劣化しやすい場所になります。
しかし普段あまり目につきづらい箇所のため汚れ・ゴミ・劣化などに気づきにくい場所でもあります。

定期的な屋根・雨樋の掃除やメンテナンスは、家の美しさを保つだけでなく、普段目にすることの少ない箇所を点検することで雨漏りなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

目次

屋根・雨樋の汚れは様々
屋根・雨樋の汚れを放置すると
屋根のお手入れ方法
雨樋のお手入れ方法
屋根・雨樋の掃除はオススメしません
まとめ

屋根・雨樋の汚れは様々

砂ぼこり

いくら高いところに屋根があるとはいえ、家の外にある屋根や雨樋にはほこりが溜まります。
もともと屋根には勾配(こうばい、傾斜のこと)がついていることが多いため、汚れが溜まりにく
い構造にはなっていますが、年月の経過とともに砂ぼこりが溜まっていきます。

近所に畑や学校のグラウンドなど、砂ぼこりが多い立地では要注意です。
砂ぼこりが溜まると主に以下のような影響が考えられます。

雨水が浸入する

屋根材が少しずつずらしてある重ね葺きの屋根だと、激しい雨のときには屋根材の下に雨水が浸入することがあります。
正常な状態の屋根の場合、下に防水層があるので雨水が勾配によって下方に流され、排出されていきます。
しかし、砂ぼこりが屋根・雨樋に溜まってしまうと、雨水が正常に排出されなくなり、雨漏りにつながる恐れがあります。

屋根材同士が重なった隙間が塞がれる

屋根材同士が重なった部分は、雨水が入り込んでも排出させる役割があります。
この隙間を確保するために、屋根の塗装の際に「縁切り」をしたり「タスペーサー」を入れたりします。
砂ぼこりなどで隙間が塞がれてしまうと、屋根材の下に浸入した雨水が排出されにくくなってしまいます。
また、屋根材の下に入り込んだ雨水が排出されなくなると、防水層の隙間やクギ穴などから屋根の内部に雨水が浸入する「毛細管現象」という雨を屋根材の下に吸い上げる現象も起こり、危険が高くなります。

雨樋が詰まってしまう。

雨樋は、雨水が洗い流した屋根の汚れも一緒に流れてきますが、長年のうちに砂ぼこりが溜まってしまうと、詰まったり流れが悪くなったりします。
雨樋から溢れた雨水が軒先にかかり、雨漏りや屋根内部の腐食につながる場合もあります。

コケや藻が生える原因になる

屋根・雨樋に溜まった砂ぼこりはコケや藻が生える原因となります。
特にスレート、横葺きの金属屋根、アスファルトシングル、勾配が緩やかな屋根、雨樋などの箇所には砂ぼこりが溜まりやすいので要注意です。

落ち葉

落ち葉は屋根には勾配がついているので積もることはあまりありませんが、雨樋に溜まった落ち葉で雨樋が詰まるケースはめずらしくありません。
また、庭に屋根より高い木がなくても、風で飛ばされてくることも多いです。

落ち葉が屋根に及ぼす影響

雨樋が落ち葉で詰まってしまうと、雨樋からはね返った雨水が軒先にかかり、雨漏りや屋根内部の腐食につなばる場合があります。
陸屋根(ろくやね)などの勾配がついていない屋根ですと、落ち葉が屋根の上に溜まり、放置していると腐敗して屋根の劣化を早めることになります。
落ち葉が溜まりやすい陸屋根、バタフライ屋根、雨樋などは要注意です。

コケ・藻

屋根表面に残るわずかな水分と屋根に溜まった砂ぼこりを栄養に、コケや藻が生えてきます。

コケや藻が屋根に及ぼす影響

屋根表面の雨水の水はけが悪くなり、スレート屋根では塗装の劣化が早くなります。
砂ぼこりが溜まりやすくなり、さらにコケや藻が増殖する、という悪循環につながる恐れがあります。
スレート屋根、セメント屋根、アスファルトシングルなどの屋根はコケや藻が生えやすく、表面の塗膜が劣化し表面の水はけが悪い状態になると、よりコケや藻が生えやすくなります。

塩分

海沿いや海風があたる場所に建つ住宅では、潮風で運ばれる塩分が金属系屋根を錆びさせる原因になります。

塩分が屋根に及ぼす影響

ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板などの金属系の屋根は錆びが生じやすいです。
海岸から一定距離内にある住宅では製品保証の対象外となる場合もあります。

錆びが生じた屋根は住宅の美観を損なうだけでなく、放置していると穴が空き、雨漏りにつながる事があります。

金属系屋根、特にトタン屋根やガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板など、鋼板にメッキをしたタイプの屋根は塩分による被害が出やすい屋根ですので要注意です。

酸性雨

屋根は、酸性雨の影響を強く受けます。

酸性雨が屋根に及ぼす影響

酸性雨は金属と反応し屋根を腐食させ、放置するといずれ屋根材に穴が空きます。
ステンレス屋根やガルバリウム鋼板・ジンカリウム鋼板などの屋根は錆びないため酸性雨による影響はほとんどありませんが、トタン屋根、銅版屋根では雨が集まりやすい屋根の谷部分などで穴が開くことがあります。
雨樋も、酸性雨に弱い材質のものは影響を受けやすくなります。
銅製の雨樋に穴が空くことも珍しくありません。

トタン屋根や銅版屋根、屋根の谷部分など、雨水が集中しやすい箇所、雨水が流れる雨樋(銅やトタン製の場合)などは酸性雨の影響を受けやすいので注意が必要です。

屋根・雨樋の汚れを放置すると

屋根の汚れを放置することでどのような悪影響があのでしょうか

雨漏り

屋根材の下には、防水性の高い下葺き材が貼ってあるため、屋根材の下に雨水が浸入してもすぐに雨漏りが始まるわけではありません。
しかし、下葺き材には継ぎ目があるため、屋根の谷部分などの雨水が浸入しやすい箇所を完全になくすことは難しいのです。
屋根材の下に雨水が入り込む状態が続けば、下葺き材でも防ぎきれず、雨水が屋根の内部に浸入して雨漏りを引き起こすこととなります。

カビ

屋根の内部に雨水が入り込むと、いつまでも乾燥しないためにカビの原因となります。
カビが増殖して屋根裏まで繁殖すれば、いずれはカビによる健康被害が生じる危険もあります。

住まいのあちこちで増殖するカビは、その影響が軽視されがちです。
しかし、カビはアレルギー性肺炎の原因となり、悪化すると肺組織が破壊されることもあります。

屋根内部の腐食

木造住宅の場合、屋根を構成する野地や棟木、垂木などは木材でできています。
雨水が浸入して濡れた状態が続くと、木材を腐敗させる菌が増殖して屋根内部の腐食が始まるのです。
屋根の耐久性が損なわれ、地震の際に屋根が崩壊する可能性もあり、とても危険な状態といえます。

屋根のお手入れ方法

  • 年に1~2度は、キズや破損がないか、点検しましょう。
    特に台風の後などは、念入りな点検が必要です。
  • 屋根瓦は本来耐久性があり、変色・退色しにくいものですが、材質によっては塗装が劣化する場合もあります。
  • 飛来物などで屋根が傷ついたり、破損したときは、応急処置として、コンクリートボンドや協力接着剤を使い、専用の補修塗料などを塗りこみます。
  • 屋根を直すには、専門の知識が必要になってきます。
    劣化や破損した際は、応急処置で済ますのではなく、専門業者にご相談ください。

注意

点検など、高いところの作業になりますので、しっかりと安全対策をとりましょう。

高圧洗浄

屋根に生えたコケや藻は、高圧洗浄で取り除きます。
ただし、高圧洗浄ではコケや藻とともに、劣化した塗膜も除去することとなります。
きれいにはなるものの、そのままでは防水機能が失われた状態となるため、高圧洗浄を行う
際には塗装もセットで行うことが前提となります。

高圧洗浄を行うタイミング

コケや藻が生えやすいスレート屋根は、7~10年前後で塗装などのリフォームを検討します。
高圧洗浄もこのタイミングで行うこととなります。

高圧洗浄の方法

コケや藻に効果的な特殊な洗剤を使用する「バイオ洗浄」は、一般的な高圧洗浄よりも割高になります。

屋根の掃除に適した気候条件

屋根の雨漏りなど緊急を要する場合は別ですが、屋根の掃除をするなら、雨や雪が少なくて気候が安定している時期に行うのが好ましいです。

雪が降る可能性が低くなり、気候が安定している春は掃除に適した季節です。
雨が続くと掃除がしにくくなるため、梅雨に入る前に終わるように計画を立てるのがベストです。

梅雨に入ると雨で作業ができなくなるだけでなく、掃除に加えて塗装も行うことになった場合、湿気によって不具合が生じることがあります。屋根や外壁の塗装は、雨が降っている時や湿度が85%を超える時には施工できません。塗装面に水分がつくことで塗装面のツヤが失われたり、塗膜が剥がれたりする塗装不良となります。

塗装では下塗り・中塗り・上塗りと、3回の塗装を重ねるのが一般的ですが、それぞれの段階で塗膜が完全に乾いてから塗料を重ねるのが原則ですので、湿気が高いと塗料の乾燥に時間がかかるため、降雨時の作業中断と合わせて工期が延びてしまいます。
さらに、悪質な業者が乾燥不十分のまま上に塗料を重ねた場合は早期の剥がれなどの施工不良につながるため、注意が必要です。

屋根の上は高温になり作業者にとってはつらい時期ですが、作業自体は問題なく行うことができます。
ただ、ゲリラ豪雨や台風など、雨が降ると作業が延期になる場合もあります。
また、業者の夏季休業の影響で希望通りの日程が取れない可能性もあります。

秋は、台風が最も到来しやすい時期ですので、塗装工事も台風が来れば当然中断せざるを得ません。
さらに、養生シートをあらかじめ外しておくなどの対策が不十分な場合、足場が崩れたり養生シートが風で飛ばされたりなどの予期せぬ事故にもつながるので注意が必要です。

台風シーズンが終わると天候が安定し、寒さが本格化するまでは屋根の掃除に適した時期が続きます。
屋根の掃除とあわせて塗装も行う場合にはベストシーズンといえるでしょう。

ただし、よい時期だけに塗装依頼が集中するため、業者への問い合わせや予約は早めにしておくことがポイントです。

降雪などで屋根の掃除が難しくなる季節です。雪が降っていない場合でも、屋根面の凍結には注意が必要です。

屋根の掃除とあわせて塗装も行う場合、気温が5度以下になると塗料の乾燥が悪く、施工不良のおそれもありますので屋根の掃除は冬以外に行うのが無難といえるでしょう。

雨樋のお手入れ方法

雨樋は、落ち葉やゴミが溜まりやすい場所ですが、下からだとなかなか見えにくいものです。
屋根といっしょに点検しましょう。

  • 軒樋の落ち葉やゴミなどを放置すると、雨水の流れが悪くなります。
  • 小さめのほうきなどで掃いて、取り除いてください。
  • 竪樋:たてどい(軒から地面までの垂直の雨樋)に、配水管カバーがある場合は中のゴミも取り除いてください。

注意

・軒樋:のきどい(別名:横樋)にゴミや落ち葉が溜まると、雨水が溢れる場合があります。
・屋根や雨樋の点検にハシゴを立てかける際、樋の破損にご注意ください。

雨樋の掃除

雨樋に詰まった砂ぼこりや落ち葉を掃除し、雨水の通りをよくします。

雨樋の掃除をするタイミング

1年に1回、点検もかねて雨樋の掃除をしておくと万全です。

雨が降ったときに雨樋から雨水が溢れていたら、雨樋が砂ぼこりや落ち葉で詰まっている可能性があります。
早急に掃除の手配をしましょう。

屋根面の砂ぼこりの大半は、雨水とともに雨樋に流れ込みます。
そのため、雨樋は屋根の関連部の中でもっとも汚れが溜まりやすい場所といえます。

雨樋の掃除方法

実際の作業は専門業者が行うこととなります。

軒樋(のきどい)を掃除する

軒下に取り付けられた、地面と平行に走るといを「軒樋:のきどい(別名:横樋)」と呼びます。
まずは軒樋に溜まった落ち葉やゴミ、溜まった砂ぼこりを取り除きます。

集水器の詰まりを解消する

軒樋から流れてきた雨水を「竪樋:たてどい(軒から地面までの垂直の雨樋)」に流す部分を「集水器」と呼びます。
集水器は、軒樋に集められたほこりやゴミが溜まり、詰まりやすい部分です。

軒樋の雨水が流れない場合は集水器が詰まっていることが多いため、集水器に溜まったホコ
リやゴミを取り除き、水が流れるようにします。

竪樋(たてどい)の詰まりを解消する

集水器のゴミやほこりを取り除いても雨水が溢れる場合、竪樋に詰まりが生じています。
パイプ掃除専用のホースで高圧洗浄を行い、汚れを洗い流します。

雨樋に破損があったら補修を行う

雨樋が割れたり外れたりしている箇所は補修を行います。

屋根・雨樋の掃除はオススメしません

ここまで屋根や雨樋の掃除方法などを説明しました。屋根・雨樋の掃除が必要なことは間違いありません。
しかし、屋根の場合は、DIYによる掃除はおすすめできません。
屋根の掃除は専門業者に任せた方がいい理由を以下で説明します。

高所で角度もあるので危険

一般的な屋根の勾配は、16.~27度とされています。
数字でみるとそれほど急角度に感じられないかもしれませんが、少しバランスを崩せば簡単に転がり落ちるくらいの角度がついているのです。

屋根・雨樋は人が住む部分の上にあるものなので、1階の屋根でも3m程度の高さがあり、人の身長をはるかに超えます。2階なら7m程度とさらに高く、転落すれば命の危険に関わります。
雪かきをしている人が屋根から転落して亡くなった、というニュースも珍しくありません。
雪がなかったとしても、屋根は人が命を落とすのに十分な高さがあることを認識しておきましょう。

屋根材が破損する

屋根材として広く普及している化粧スレートは厚さが5ミリほどしかありません。
不用意に上を歩けば簡単に割れてしまいます。

最近の新築住宅でもっとも多く採用されているガルバリウム・ジンカリウム鋼板はさらに薄く、厚みが0.35~0.5ミリ前後しかありません。専門の屋根職人でも施工の際に上に乗るとへこんでしまう場合があります。

屋根が割れたりへこんだりすると高額な補修費用がかかります。
屋根を掃除して長持ちさせようと思ったのに、逆に壊してリフォームが必要になった…ということにならないよう、気をつけましょう。

掃除ではなく補修が必要なことも

屋根の汚れと思っていたら、すでに塗膜が剥がれたり、屋根材そのものが劣化していて補修が必要なケースもあります。
素人には、屋根の状態を外観から判断するのは難しく、たとえば、スレートに生えたコケや藻はただの汚れに見えても、スレート表面が劣化している場合がほとんどです。
補修が必要な不具合を見落とさないためにも、点検の段階から専門家に任せる方が安心です。

屋根・雨樋の掃除は信頼できる屋根業者に依頼

屋根・雨樋の掃除を専門家に依頼するなら、実績が豊富で信頼できる業者に依頼しましょう。
屋根の知識が浅い業者は屋根を破損させるおそれがあるだけでなく、本来は補修が必要な不具合を見落とすこともあります。

屋根は高所であるために、業者の掃除が完了した後も依頼者が目で見て点検することが難しい場所で、業者による手抜きやごまかしがあっても気づかない場合もあります。
大切な住まいを守るために、安心して任せられる業者に依頼しましょう。

まとめ

普段見落としがちな屋根の掃除について、汚れの種類や汚れがつきやすい屋根を紹介しました。
DIYで屋根・雨樋の掃除は難しさや危険が伴うこと、屋根の掃除で行う作業についてお分かりいただけたかと思います。

屋根や雨樋をきれいに保つことは、住まいの美観を維持するだけでなく、直射日光や雨風から住まいを守る屋根の機能を維持する大切な作業です。
屋根の状態の点検もかねて、数年に1度のタイミングで屋根をチェックし、屋根・雨樋を万全の状態に保っておきましょう。

屋根のことで気になることは”現地調査・見積り無料”の「屋根.pro(ヤネドットプロ)」にご相談ください。

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